マニュアル制作
産業機械マニュアル制作からスタートした実績と制作に必要な技術を持っています。
「お客さまのマニュアル制作にまつわる負荷を軽減したい!」という思いは当社の原点です。
コンテンツ制作
テクニカルライティング、DTP、技術翻訳などの専門技術者を養成するとともに、新しい技術や情報で常に品質の追求を行っています。

製造業のマニュアルをDX!電子化のメリット・デメリットを比較

はじめに

製造業では、取扱説明書や作業手順書といったマニュアルが、業務の標準化や品質の維持に欠かせません。昨今、デジタルトランスフォーメーション(DX)の流れの中で、これらのマニュアルを電子化する動きが活発になっています。紙のマニュアルをデジタル化することで、スマートフォンやタブレットで閲覧できるようになり、業務の効率化やコスト削減が実現できます。 本記事では、マニュアルの電子化によるメリット・デメリットを解説し、電子化導入時のポイントについてもご紹介します。

製造業DX、マニュアルの電子化とは?

マニュアル電子化とは、紙媒体で管理されていた機械の操作手順、メンテナンスガイド、品質管理基準などをデジタルデータ化し、PCやスマートフォン、タブレットなどのデバイスで閲覧・管理できるようにすることを指します。製造業での工程が繊細で複雑化する中、作業者にはデジタル化によって、情報の検索性が向上し、参照が容易になるため、業務の効率化や標準化が促進されます。たとえば、製造ラインの作業手順書をクラウドサービス上で管理すれば、最新情報をリアルタイムで効率的に共有でき、ヒューマンエラーの防止に役立ちます。また、遠隔地の従業員ともスムーズに情報を共有できるため、作業の標準化にも貢献します。
一方、管理者にとっても、クラウド上に保存された作成中の電子マニュアルを、リモートワークを行う技術者やエンジニアと更新情報の共有ができ、更新内容に対しても即座に双方で確認できます。たとえば、クラウドシステムを活用すれば、権限を設定しながら最新のマニュアルを一元管理できます。
また、3DCGで作成した静止画や動画を埋め込むことで、現場の作業者に対して視覚的にわかりやすいマニュアルの作成に繋がります。さらに、AIや自動翻訳機能を活用すれば、多言語への対応も容易になり、外国人作業者へのフォローや海外拠点との情報共有もスムーズになります。
製造業でDXを推進するにあたって、まずはマニュアルの電子化から着手しませんか?

マニュアルの電子化は目的を明確に!

メリットとデメリットを比較する前に、目的の明確化が最重要です。どの課題を解決し、どのような成果を目指すのかを明確にすることで、マニュアル電子化の価値を最大化し、社内全体の理解と協力を得ることができます。下記に導入目的の主な項目を取り上げました。まずは導入の目的を明確にし、未来の成果に向けての「ブレないDXへの第一歩」を踏み出しましょう!

1. 業務効率の向上

  • 最新情報を即座に反映可能
  • 検索機能を活用して迅速に情報へアクセス
  • 標準化された手順により作業ミスを削減

2. コスト削減

  • 印刷や保管、配送、コスト削減
  • 更新作業の時間的な負担を軽減
  • 問合せ対応時間の削減

3. 情報の一元管理

  • 言語展開や、閲覧データ分析を活用
  • 研修や教育資料への二次活用
  • 過去のマニュアルデータを蓄積し、ナレッジ共有を強化

4. 環境負荷の軽減

  • ペーパーレスによる脱炭素への取組み
  • 廃棄処理によるCO₂排出削減

目的別、マニュアル電子化の活用事例

電子化を活用したマニュアル運用は、製造業に新たな価値をもたらします。ここではDXの一環での活用事例をご紹介します。

1.顧客対応のスピードアップ

ある工作機械メーカーでは、製品操作マニュアルの電子化の機会に製品自体にQRコードを付け、それを読み込むと直接オンラインで操作マニュアルを閲覧できる仕組みを導入。PDF形式だけでなく、初めて製品を扱うユーザー目線で、実際の操作を解説した動画も併載しました。

2.現場での作業効率向上

精密部品メーカーでは、保守点検手順をタブレット上のアプリで提供。作業手順、注意点の電子マニュアル化を機に検査記録の入力機能を追加し、一つのインターフェースで完結。作業時間の短縮とヒューマンエラーの低減だけでなく、保守記録の即時共有により、管理者の負担も軽減されました。

3.人材育成の加速策

社内教育用マニュアルの電子化を進め、現場作業の基本動作や安全管理に関するマニュアルを動画教材として整備。新入社員は着任初日からタブレットで学習を開始でき、オンボーディング期間の短縮と、教育担当者の負担も軽減されました。

4.技能の見える化

熟練者の高齢化や人材不足が課題の工場において、「匠の技」の標準化を目指し、ノウハウ継承のためにマニュアルを電子化。熟練作業者の手順やカンコツを映像と音声で記録し、後進育成用マニュアルとして整備し直しました。

マニュアル電子化、事前の注意点

マニュアルの電子化を進めるにあたっては、いくつかの注意点をしっかりと押さえておく必要があります。

データセキュリティの確保が不可欠

  • 不正アクセス・情報漏洩のリスクに備える必要あり
  • ファイアウォールの設置、データの暗号化、アクセス権限の管理などを実施

定期更新とメンテナンスの実施

  • 技術や業務プロセスの変化に対応し、マニュアルの内容を常に最新に保つ

具体的な運用方法の策定

  • トレーニングや学習に活用できるよう、画像や動画を用いた解説の整備用

ユーザーインターフェースの工夫

  • スマートフォンやタブレットでも使いやすい設計を心がける
  • 直感的でシンプルなナビゲーションや検索機能の提供

コンテンツの最適化

  • 利用するデバイスに適したフォーマットでマニュアルを制作する

上記の注意点を事前に考慮することで、マニュアル電子化の導入プロセスがスムーズに進みます。


マニュアル電子化のメリット

従来の紙媒体に依存した運用には、更新や管理の手間、コストの問題がつきまといます。電子化によりこれらの課題を解消し、新たな可能性を切り開く主なメリットをまとめました。

1.検索性の向上

電子マニュアルはキーワード検索が可能で、必要な情報を即座に取得できます。作業者が素早く適切な情報にアクセスできるため、業務のスピードと正確性が向上します。

2.情報の即時更新

クラウド上で管理されるため、リアルタイムで更新でき、古い情報の誤使用を防ぎます。さらに、変更履歴を記録できるため、透明性の高い情報管理が可能になります。

3.保管・管理コストの削減

印刷や配布が不要になり、オフィススペースの節約や管理の手間が軽減されます。また、紙の紛失リスクもなくなります。

4.リモートアクセスの容易さ

インターネットを通じて、どこからでもアクセスできるため、グローバルチームにも対応可能です。工場外からでもマニュアルを確認でき、迅速な対応ができます。 たとえば、クラウドベースのマニュアルを導入したことで、海外工場の技術者がリアルタイムで最新の作業手順を確認できるようになりました。その結果、海外からの問合わせ件数が減少し、トラブル対応の迅速化が実現します。また、遠隔地の保守作業でもタブレットを用いて必要な情報へ即座にアクセスできるため、作業効率が向上しました。

5.セキュリティ対策の強化

アクセス権限を設定することで、機密情報の管理が強化されます。不正アクセスを防ぎ、安全な情報管理を実現できます。

マニュアル電子化のデメリット

電子化には多くのメリットがありますが、導入時にはいくつもの課題が生じます。デメリットとの比較を行い、導入に際し、総合的に判断しましょう。以下では、代表的なデメリットを紹介します。

1.初期導入コストがかかる

専用ソフトウェアやハードウェアの導入、特に独自のシステム構築には多大なコストがかかります。

2.従業員の習熟が必要

電子マニュアルを活用するためには、新しいツールの操作に慣れる必要があります。特にITに不慣れな社員に対する研修やサポートは欠かせません。

3.システムトラブルのリスク

インターネット環境やシステム障害が発生すると、マニュアルにアクセスできなくなる可能性があります。

4.セキュリティ対策の必要性

データ漏洩を防ぐため、適切なセキュリティ対策が求められます。定期的な社内監査やバックアップルールが必須です。

5.継続的なメンテナンスが必要

技術の進化に対応するため、定期的な更新作業が必要です。特にソフトウェアのアップデートやサポート終了には細心の注意が必要です。

マニュアル電子化の導入ポイント

メリットとデメリットの比較を行った後、導入する際には、以下のようなポイントを参考にしてみてください。

1.適切なツールの選定

  • PDF、HTML、クラウドベースなどの形式を選定
  • 画像や動画を活用したマニュアルの導入
  • 専用のナレッジ管理システムやツールの利用検討

2.既存マニュアルのデジタル化

  • OCR(光学文字認識)を活用してスキャンし、テキストデータ化
  • ドキュメントファイルにタグを埋め込み、検索性を向上
  • 自動翻訳機能を組み込み、多言語対応を強化

3.クラウドシステムの導入

  • Google DriveやSharePoint、または専用のマニュアル管理システムを活用
  • モバイルデバイスでの閲覧を考慮したインターフェースの整備

4.従業員向けトレーニング

  • ITリテラシー向上のためのワークショップ実施
  • デバイスの使い方研修を実施し、活用を促進

5.セキュリティ対策の強化

  • アクセス権限の設定
  • データの暗号化とバックアップ体制の整備
  • 定期的なセキュリティチェックとリスク管理の実施

マニュアル電子化の導入タイミングは?

主にマニュアル電子化の導入は、以下のようなタイミングがあります。

1.業務プロセスの見直し時

業務効率化や作業手順の改善を検討しているタイミングは、マニュアル電子化を導入する絶好の機会です。新しいプロセスに合わせて、効率的な情報管理を実現できます。

2.新製品や新サービスの展開時

新しい製品やサービスを導入する際には、関連するマニュアルの電子化を進めることで情報共有が迅速化し、対応の一貫性を確保できます。

3.リモートワークの拡大時

リモートワークや多拠点展開が進む中で、電子マニュアルを導入することで場所を問わず情報にアクセス可能になり、業務の柔軟性が向上します。

4.紙媒体の管理が困難になった場合

紙の管理や保管スペースが限界に達している場合は、電子化によってコスト削減と管理負担の軽減を目指すべきタイミングです。

5.システム更新時

既存のシステムの更新や新しい技術の導入時に電子マニュアルを取り入れることで、デジタル化の相乗効果を得ることができます。

以上のタイミングを活用することで、導入効果を最大化できるでしょう。現在抱えている課題や状況に応じて計画を練るのが重要です。

さいごに:導入タイミングのおすすめは?

一番のおすすめは「2. 新製品や新サービスの展開時」のタイミングです。新製品だけのスモールスタートで、電子マニュアル実現化の検証から始めることもおすすめいたします。
テクノツリーではマニュアル制作に関連するご相談を、随時承っています。
お気軽にお問合せください、お待ちしています。


 取扱説明書の資料ダウンロードはこちら 
 取扱説明書診断をご希望の方 

まとめ

マニュアルの電子化は、業務効率化やコスト削減、情報の一元管理など多くのメリットをもたらします。ある製造企業では紙のマニュアルをクラウドベースのデジタルマニュアルに移行し、情報更新の手間を大幅に削減するとともに、現場スタッフの検索時間を短縮し、作業効率を向上させました。ただし一方で、導入には初期コストやセキュリティ対策といった課題も伴います。適切なツール選定と運用設計を行い、段階的に導入を進めることで、よりスムーズな移行が可能です。製造業のDX推進の一環として電子マニュアルを活用することで、より効率的な業務運営が実現できます。