取扱説明書(製品マニュアル)には何を必ず書くべきか? 国内の主要な法規制を分野別で解説!
目次
はじめに
製造業において取扱説明書(製品マニュアル)を作成する際には、複数の法規制を遵守する必要があります。これらの法規制への対応を怠ると、安全上の問題が発生するリスクが高まるだけでなく、製品の販売が制限される場合があります。また、適切な取扱説明書がない場合、製造事業者または輸入事業者は事故発生時に企業の法的責任が問われることも。取扱説明書は単なる補助資料ではなく、製品の安全性を保証し、企業の法的リスクを低減する重要なドキュメントです。

製造物責任法(PL法)
まずは、製造物責任法(PL法)。この法律では、製造物の欠陥が原因で生命、身体、または財産に損害が生じた場合、製造業者が責任を負うことが規定されています。取扱説明書は安全性を確保するための重要な役割を担っており、同法内では「製品の一部」として扱われています。正確で十分な情報が提供されていない場合には「欠陥」と見なされる可能性があるので、取扱説明書には以下のような法的要件が求められます。
- 正確な情報提供: 製品の正しい使用方法や注意事項を明確に記載
- リスクの明示: 使用者が誤った使い方をしないよう、リスクや禁止事項を具体的に明示
- 視認性と理解しやすさ: 誰でも理解できるように、簡潔でわかりやすい表現を使用し、視認性の高いデザインの採用を推奨
- 法的整合性: 製品の特性や使用環境に応じた適切な注意表示を行い、PL法に基づく責任を果たすための内容を含めることが必要
取扱説明書の必要表示事項
つぎに、取扱説明書の基本的な必要表示事項が「社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会」の製造業表示規約 第六条で定められていますのでご参照ください。
取扱説明書の必要表示事項
- 事業者の名称及び所在地
- 品名及び形名
- 仕様
- 主要部分の名称、働き及び操作方法
- 付属品の名称及び数
- 取扱上の注意事項(安全保持のために必要とされる取付方法、使用方法、お手入れ方法、保管方法、廃棄方法など)
- 修理等に関する事項
- ア.故障に際して消費者が採るべき処置
- イ.保証書を添付しない場合の修理及び保証書を添付している場合であってその保証期間が経過した後の修理に関する事項
- ウ.補修用性能部品に関する事項
- 事業者の消費者相談窓口に関する事項
【分野別】関連する国内の主要な法規制
続きまして、取扱説明書で考慮すべき、国内の主要な法規制の概要について分野別で解説します。
また、各法規制での特徴的な必要表示項目を抽出しています。
製品の安全に関する法規制
消費生活用製品安全法(PSCマーク)
消費者の安全確保を最優先とし、事故防止のための使用方法や警告表示、緊急時の対応を明確に記載 することが求められている法律です。特定の製品には「PSCマーク」の取得が義務付けられています。製品によっては追加の検査や認証が必要な場合があり、取扱説明書では法的要件を十分に確認することが重要です。
- PSCマークの有無(特定製品の場合)
- 適用される安全基準(JIS、ISO、IEC など)
- 製造年月日・ロット番号などの識別情報
- 消費生活用製品安全法で求められる基準への適合情報
- 関連法令(電気用品安全法、JISなど)適用の有無
労働安全衛生法
工場や作業現場で使用される機械や設備、化学物質には、労働者の安全を確保するための規制が適用されます。特に、産業機械や電動工具などは誤使用による事故リスクが高いため、取扱説明書には以下の内容等を記載する必要があります。
- 適用される安全基準(JIS、ISO、IEC など)
- 必要な保護具(PPE)の使用(安全靴・防護メガネ・手袋の着用など)
- リスクアセスメント(作業時の注意点と危険回避策)
- 作業員の資格・教育要件(特別教育・技能講習が必要な場合)
- 定期点検とメンテナンス方法
- 関係法令(高圧ガス保安法、消防法など)適用の有無
電気用品安全法(PSEマーク)
電気製品には、感電や発熱、火災のリスクを防ぐために「PSEマーク」の取得が義務付けられています。取扱説明書には以下の情報等を記載する必要があります。
- PSE適合の表示(PSEマークの有無、特定電気用品か一般電気用品か)
- 定格仕様(電圧・電流・消費電力・周波数など)
- 製造年月日やロット番号(製品識別のため)
- 使用環境に関する制限(温度、湿度、換気条件など)
- PSE法以外の関連法規への適合情報(必要に応じて)
- JISやIECへの準拠情報(該当する場合)
製品の品質および規格に関する法規制
工業標準化法(JIS)
JIS(日本工業規格)は、製品の品質や安全性を一定の基準で管理するために定められた基準です。取扱説明書の作成においても、JIS Z 8210(取扱説明書の記載方法)に沿った表記が推奨されています。
- JIS適合表示の有無(JISマーク表示が許可されている場合)
- 適用されるJIS規格番号
- 関連法規への適合情報(電気用品安全法(PSE)、労働安全衛生法 など)
- JIS以外の規格適合情報(ISO、IEC などの国際規格が適用される場合)
医療機器関連法(薬機法)
医療機器の取扱説明書には、誤使用を防ぐための詳細な説明が求められます。以下の情報等を明記する必要があります。
- 医療機器クラス分類(クラスⅠ~Ⅳ)
- 承認番号または認証番号(承認・認証が必要な医療機器の場合)
- 副作用やリスクの可能性
- 緊急時の対応方法および連絡先情報
環境関連の法規制
廃棄物処理法
電子機器やバッテリーなどの廃棄方法について、法律により適切な処分が義務付けられています。取扱説明書には、以下の情報等を記載することが求められます。
- 該当する産業廃棄物の分類
- 取扱時の安全注意事項、保管・運搬時の注意点
- 廃棄時の注意事項
- リサイクル可能な部品の識別情報
- 法令に基づく処理方法の案内
リサイクル法(循環型社会形成推進基本法および各種リサイクル関連法)
製品の取扱説明書には適切な廃棄・リサイクルに関する情報を記載する必要があります。該当するリサイクル法は、製品の種類によって異なります。
- 製品に含まれる主要な材料の情報
- 適正な処理方法
- 該当するリサイクルマークの表示
- 使用済み製品の回収・引取方法
取扱説明書作成時の重要ポイント
適切な取扱説明書を作成するには、以下の記事をご参照ください。
まとめ
製造業における取扱説明書(製品マニュアル)では、製品の種類や市場ごとに異なる法規制の遵守が求められます。特に、安全基準や品質規格、環境規制への適合が重要です。適切な取扱説明書を作成することで、製品の安全性と企業の信頼性を高めましょう。
自社製品に適用される法規制の詳細について確認したい場合は、専門家に相談することを推奨します。
