製造業で進化する3DCGの表現技術と活用事例【カテゴリー別】
はじめに
製造業における3DCG(コンピュータグラフィックス)の導入が加速しており、その活用範囲は設計、製造、販売、保守と多岐に渡っています。特に、3Dでのモデリング、レンダリング、アニメーション、シミュレーション、拡張現実(XR)技術の進歩は、製造プロセスの可視化や最適化に直結し、生産性の向上や販売促進に大きく貢献しています。
弊社、テクノツリーは1996年の創業以来、製造業を中心にマニュアル制作やプロモーション支援に従事しております。3DCG制作での経験や実績を一部踏まえながら、製造業において社内外のビジネスコミュニケーションを強化する3DCGの活用事例を、表現技術のカテゴリー別でご紹介いたします。
3DCGの活用事例
3D CADレンダリング
3D CADでモデリングされたデータを加工してレンダリングを行うことで、製品の外観や素材の特性をリアルに表現できます。新製品のプロトタイプを実機に頼らず3DCGのみで作成し、実物製造前に詳細なデザインレビューや機能説明が可能になります。レンダリング技術の発展により、光源のシミュレーションや物理ベースのマテリアルを指定できる領域の幅が広がっており、設計の精度向上やマーケティング資料の事前作成に貢献しています。
活用事例
- 新製品のデザイン検討において、異なる材質や塗装の組み合わせをリアルタイムで確認し、完成イメージをブラッシュアップする
- カタログやECサイト向けに製品をフォトリアリスティックな画像で生成し、写真撮影にかかる経費と時間コストを削減する
- 製品カタログ上での多彩なカラーバリエーションを取り揃え、設置環境に合わせて提案できる要素を追加する
- 新工場の設計プレゼンテーション用に、建物の完成予想図を作成し、社内の合意形成を促進する
テクニカルイラスト
製造業では、技術文書や取扱説明書において、複雑な構造を視覚的にわかりやすく伝える必要があります。3DCGは製造物を360度どの角度からも表現を検討することができるので、対象者に合わせた最適な静止画を正確に制作できます。また、テクニカルイラストは標準作業手順(SOP)での製品構造の理解促進にも貢献します。
活用事例
- 各部品の配置などを、断面図や透過表現を用いて一つの画像に集約することで製品の全体構成をわかりやすく訴求する
- エンジンや電子制御システムなどの分解図を作成し、メンテナンス作業の標準化を提示する
- セル生産の組み立てや加工手順を3Dモデルから生成し、視覚的に作業ミスの削減を図る
- 電気配線の指示書で対象のコネクタ形状やケーブル色を明確にし、誤接続や配線ミスのリスクを低減する
動画・アニメーション
3DCGを動画やアニメーションに活用することで、製品の動作原理や組立手順を時間軸に沿って視覚的に説明できます。3DCG動画は、時間の経過や製品の動きを自由にコントロールできるため、スローモーションや一時停止、早送りに加え、拡大・縮小表示などを駆使して、製品の機能や動作原理を伝えることで、ユーザーの理解を深めることができます。また、音声や字幕を追加することにより、技術的な説明や教育用教材に対する理解の強化方法としても、3DCG動画は非常に効果的です。
活用事例
- ラインでの製品検査の工程をCG動画で表現することで、顧客に対して品質の信頼性をPRする
- 実写では不可能な事故の再現はCGを用い、再発防止に役立てる
- 飛散防止のカバーで囲まれた粉砕機の内部構造を見せ、粉砕力のイメージ喚起に導く
- 主力製品の組立工程をアニメーション化し、技能研修の教材として活用
- 大型油圧システムの動作原理を解説する動画をCGで制作し、顧客教育を強化する
シミュレーション
3DCGシミュレーションは、製造業において設計の効率化や生産性向上に大きく貢献します。試作や生産工程の最適化、従業員の教育、設備メンテナンスなど幅広い用途で活用可能です。今後も技術が進化し、よりリアルなシミュレーションが実現されることで、さらなる業務効率化が期待されます。特に、AIやクラウド技術との組み合わせにより、データの活用がより高度になり、業務プロセスのさらなる最適化が可能になります。
活用事例
- 新設工場のラインのシミュレーション動画をCGで作成し、自社の技術力を社内外にPRする
- 大型設備の導入時に、搬入路を確保。出入口や他の設備機器との干渉を回避するための搬入計画を策定する
- 複数の搬送機器を組み合わせる場合に、受け渡し箇所での搬送ロスを事前に検証するためにCG上で動作連動の確認をする
- 製造現場での組立工程をアニメーション化し、技能研修の教材として活用する
- 作業員の事故シミュレーションで、リスク回避策を検討。工場の安全管理に活用する
XR(VR/AR/MR)
XR技術の発展により、設計レビュー、トレーニング、メンテナンス作業の効率が飛躍的に向上しています。VR(仮想現実)は仮想空間での設計確認、AR(拡張現実)は現場作業の支援、MR(複合現実)は遠隔作業指導に活用されます。
ホロレンズを使用したAR
活用事例
- VRで製品内部の設計を徹底検証し、設計精度を向上させることで、部品どうしの干渉リスクを軽減し、製造現場で起こる不具合の負荷を軽減する
- ARを活用して作業員にリアルタイムでの組立指示を提示し、確実な製造を目指す
- MRを用いた技術支援により、遠隔メンテナンスを行う。また、専門技術者のリモート指導も可能に
- 3D点群と設備の3Dモデルを組み合わせることで、設備の入替などを検証する
まとめ
3DCGは、製造業の設計・製造・販売・保守の各工程において不可欠な要素となっています。社内外のコミュニケーションを強化するためにも、各課題に最適な3DCG制作を進め、効果的な業務改善を目指しましょう。
テクノツリーでは、お客様のビジネス課題から目的・ゴールを整理し、最適な3DCG制作をワンストップでご提案します。制作工程においても進行管理・クオリティ管理を徹底できる体制を構築しています。お気軽にお問合せください。
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