4話|【無料シナリオテンプレートあり】 製造現場で活用する 動画マニュアルの作り方:効率的な制作への7ステップ
目次
はじめに
製造業において、マニュアル動画は作業標準化や従業員教育の効率化に欠かせないツールです。文章だけのマニュアルでは伝わりにくい情報も、動画を使えば視覚と聴覚で直感的に理解できます。
本コラムでは、製造業の現場で活用できる社内マニュアル動画の作り方を、準備から完成までの流れに沿って解説します。
本文の見出し内容と多少異なりますが、まずは下図の動画マニュアル制作の一般的な工程をご参照ください。
動画マニュアル制作の一般的な工程
※()内の工程は省略する場合があります
目的と対象者を明確にする
動画制作の第一歩は、動画を作る目的と対象者を明確にすることです。その後に資料の収集、必要に応じて現場への取材を行いましょう。
目的の例
- 作業の標準化
- 新人教育の効率化
- 安全対策の徹底
- 機器トラブル時の迅速な対応
対象者の例
- 新入社員、パート、アルバイト(経験が浅い層向けに基礎的な説明を充実)
- 熟練作業者(要点を絞った内容で更新の手間を軽減)
目的と対象者を明確にすることで、説明内容をどのレベルまで盛り込むか、また、専門用語の使用の有無などを決定できます。
動画の構成を設計する
製造業の現場では、要点をシンプルかつ分かりやすく伝える構成が求められます。どのような作業の映像が必要なのか事前にピックアップしておき、作業手順・状況にあわせてシナリオ原稿を作成します。手際よく作業できる出演者を選出し、清潔な服装で撮影に臨んでもらいましょう。以下の例を参考にシナリオを章ごとに設計しましょう。
構成例
- イントロダクション
- 動画の目的、概要、視聴後の期待される成果を説明
- 作業ステップの解説
- 作業を工程ごとに分割し、一つずつ順序立てて説明
- 注意事項の提示
- ミスを防ぐための重要なポイントや安全対策を明確化
- 映像のまとめ
- 手順の振り返りや、関連する他のマニュアルの案内を行う
撮影の準備
必要な機材と環境を準備
- ムービーカメラ
- スマートフォンでも高画質な動画撮影が可能ですが、扱いに慣れると動画専用のムービーカメラが便利です。メモリなどの記録媒体やバッテリーは予備を用意しておくと安心です。また手振れなどを防ぎ、安定性を確保するために三脚を必ず使用しましょう。
- 照明
- 影が出る場所や暗所で作業箇所を明るくするためにLEDライトを用意します。
- マイク
- カメラの内臓マイクは小さな音もしっかり拾います。周囲の雑音や会話に注意しましょう。現場の騒音が多い場合は外部マイクを使用して音声を明瞭に録音します。
- 作業場の整理
- 撮影対象以外の不要物を片付けて視覚的な混乱を防ぎます。カメラの画面に映る場所はきれいにして、できるだけ明るい場所・時間帯で撮影しましょう。
特に、特定顧客向けの部品・製品など、写ってはいけないものはあらかじめ移動しておいてください。
撮影時の工夫
現場での撮影では、視聴者が「どの場所で」「何をどうするのか」を明確に理解できる映像を目指します。撮影者は試し撮りなどをして、カメラの扱いに慣れておきます。また作業内容を予習して、見やすい構図などを意識して撮影しましょう。
- カメラの設定
- 映像のサイズはフルHDで撮影することを推奨します。(可能であれば4K)編集時に映像サイズを変更できることと、静止画にも転用することが可能なためです。バッテリーやメモリ残量は常にチェックしてください。
- リハーサル
- 直前にリハーサルを行い、作業者がカメラの動きやセリフに慣れることで、スムーズな撮影が可能になります。作業者は手際よく丁寧に、テンポよく、はつらつとした動作で、説明や掛け声などは、はっきりと大きな声を心掛けましょう。
- 全体像と詳細のバランス
- まずは作業全体を広い視点で撮影し、その後に作業者の手元や工具の使用方法などの詳細をクローズアップ。撮影者は作業内容を頭に入れておき、先回りして作業を捉えることを心掛けましょう。
- 静止画やスローモーションを活用
- 複雑な手順や動作は静止画やスローモーションを挿入して分かりやすくします。
- 手順ごとに区切る
- 作業を手順ごとに区切って、カメラの位置、視点を設定します。作業開始の少し前から、作業終了の少し後までを撮影します。一度でうまく撮影できるとは限りませんので、失敗したらすぐに撮り直します。作業ごとにカットを分けることで後の編集がしやすく、視聴者側も内容理解しやすくなります。
また、カットごとに作業タイトルメモを最初に撮影しておくと、何の作業を撮影したかが編集時に確認できるようになるのでお勧めです。
編集で完成度を高める
現場での撮影では、視聴者が「どの場所で」「何をどうするのか」を明確に理解できる映像を目指します。撮影者は試し撮りなどをして、カメラの扱いに慣れておきます。また作業内容を予習して、見やすい構図などを意識して撮影しましょう。
編集時のポイント
- 字幕やキャプションの追加
- 字幕やキャプションの追加・図解やアニメーションの挿入
手順や注意点を図解で説明することで、映像だけでは伝わりにくい内容を補います。 - 無駄な部分をカット
- 冗長な映像はテンポを損なうため、不要なシーンはカットします。理想的な動画の長さは5~10分です。
- BGMや効果音の活用
- 必要に応じて簡潔な音楽や注意を引く効果音を追加して映像内にメリハリをつけます。
現場でのテスト視聴
完成した動画は、実際に使用する作業現場でテスト視聴を行い、以下の項目を確認します。
・手順が分かりやすく伝わるか
・映像の長さが適切か
・視聴者の理解度を妨げる要素がないか
現場からのフィードバックをもとに修正を加えることで、より実践的なマニュアル動画が完成します。
更新と活用
マニュアル動画は作成して終わりではありません。製造現場は日々進化するため、定期的な見直しと更新が必要です。更新や検索が容易になるよう、元データや編集ファイルは名前の付け方などのルールを整理して保存しておきましょう。動画マニュアルで使用した映像、イラストやCGなどの素材を他のツールへの活用も検討してみましょう。
他ツールへの活用例
まとめ
製造業で活用する社内マニュアル動画は、効率的な教育や作業標準化の強力なツールです。
事前の準備と構成設計、撮影や編集の工夫をしっかり行えば、視聴者にとって分かりやすく実用的な動画を効率的に作ることができます。
ぜひ、この記事を参考に現場に役立つ動画マニュアルを制作してみてください!
さいごに
社内で動画マニュアルを内製化するには多大な労力と時間が必要となります。
特に通常の業務と並行して動画マニュアルをつくる場合は、さらに難易度があがります。株式会社テクノツリーは、製造業を中心に取扱説明書や作業手順書、および動画マニュアルも多数制作しています。
創業以来培った経験とノウハウとで、貴社のニーズに応じた最適なご提案ができます。
作業効率の向上を目指した動画マニュアル制作の外注化をご検討中の方は、ぜひ一度ご相談ください。